決議・声明

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の廃止を求める会長声明

2017.03.23

第1 趣旨
当会は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の廃止を強く求める。

第2 理由
1 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下、「カジノ解禁推進法」という。)は、法案が2013年12月に国会提出されてから実質的審議もされないまま放置されていたところ、2016年11月30日に突如衆議院内閣委員会に審議入りし、わずか6時間程度の審議で採決が強行され、参議院内閣委員会においても十分な審議がされないまま、2016年12月15日に成立したものである。特に、衆議院での採択は、連立与党の代表までも反対票を投じるなど、根強い慎重論・反対論がある中での強行採決であった。

2 当会から2014年10月7日付で発出した、カジノ解禁推進法案に反対する会長声明においても指摘のとおり、カジノ解禁推進法には、複数の問題点が挙げられる。すなわち、①暴力団・マネーロンダリング対策上の問題(暴力団に新たな資金源確保の機会を与え、また、マネーロンダリングに利用されること)、②ギャンブル依存症患者・多重債務者の拡大(既存ギャンブル依存症患者の深刻化や新たな患者の増加、及び、これらの者がカジノでの負けを挽回するために多重債務を抱えてしまうこと)、③青少年への悪影響(特定複合観光施設の性質上、青少年が家族と共に出掛ける先に賭博場があることになり、彼らが賭博への抵抗なく成長してしまうことによって、健全育成が阻害されること)、④民間企業の設置・運営によることの問題(営利を追求する民間企業により営まれることから、不正行為の防止や運営に伴う有害な影響の排除が困難であること)である。
この点、②については、2017年2月9日、ギャンブル等依存対策基本法案が参院に提出されたが、その内容は抽象的なものに留まり、カジノがもたらす弊害への具体的施策までは定められておらず、既存のギャンブル依存症患者の深刻化や新規発症の防止への実効的効果は大いに疑問である。
さらに、その他の問題点への対策も全く不明であり、今後カジノがもたらす悪影響への充分な対処がされるとは到底考えられない。

3 そもそも、我が国が、刑法によって賭博を禁じているのは、「勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情により財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風・・・を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」(最高裁判決昭和25年11月22日)ためである。このような理由から刑法上「犯罪」とされているものを、国が一部「非犯罪」化するのであれば、刑事司法政策上も識者による論議を経、国会でも充分に審議され、国民に理解されなければならないのは当然であろう。しかし、カジノ解禁推進法はこのような経路を辿らず、わずか2週間程度で成立してしまったのは前述のとおりである。

4 カジノ解禁推進法は、カジノが「観光及び地域経済の振興に寄与」し、「財政の改善に資する」ことを前提としたものであるが、アジア圏内にはマカオ、シンガポール、フィリピン、韓国等複数のカジノが存在し、もはや飽和状態である一方、カジノ所在各地での多重債務者の自死、地域経済や治安悪化等の悪弊が指摘されており、カジノ創設地域に重篤なダメージを与えかねない。
当会は、カジノ解禁推進法の成立に抗議し、その廃止を強く求める。

以上

2017年(平成29年)3月23日
鹿 児 島 県 弁 護 士 会
会 長  鑪 野 孝 清

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