決議・声明

死刑執行に関する会長声明

2017.07.26

                                                       平成29年7月26日
                                                       鹿児島県弁護士会
                                                        会長 馬場 竹彦
 
 金田法務大臣は、2017年(平成29年)7月13日、大阪拘置所と広島拘置所において、各1名の死刑を執行した。
 前者(西川正勝・61歳)は、再審請求中における死刑執行であり、また、後者(住田紘一・34歳)は、裁判員裁判において被害者1名で死刑判決が下され、弁護人が控訴したにも拘わらず被告人自らが控訴を取り下げたため死刑が確定した者に対する死刑執行である。
 前者は、現行法では死刑判決に対する再審請求に執行停止効がないという問題を提起するものであり、後者は、一審の裁判員裁判のみの判断で究極の刑罰である死刑を科すことの是非や自動上訴制度の導入の是非という問題を提起するものである。いずれも、生命剥奪という究極の刑罰権である死刑の正当性について、手続保障の観点から大きな疑義を投げかけるものである。
 2014年(平成26年)3月27日には、死刑判決を受けた袴田巖氏の再審開始が決定され、同時に「拘置をこれ以上継続することは、耐え難いほど正義に反する」として、死刑及び拘置の執行停止も決定されており、死刑えん罪が存在することを浮き彫りにしているところである。
 そもそも、死刑執行は人間の尊厳を侵害する非人道的行為であること、冤罪であるのに死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなど、死刑制度は様々な問題を内包している。このためか、2014年(平成26年)の内閣府世論調査では、代替刑の創設により死刑廃止を容認する国民的世論が形成されうる可能性が示唆されている。
 また、EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止し、死刑存置国とされているアメリカ合衆国においても2017年6月の時点で、19州が死刑廃止を宣言するなど、死刑廃止は国際的な潮流となっており、未だに死刑制度を存置させ死刑を執行している我が国は、国連人権(自由権)規約委員会から何度なく死刑廃止に向けた行動を取ることの勧告を受け続けている。
 このような中、日本弁護士連合会は、死刑判決を受けておきながら再審無罪となった事件(免田事件・財田川事件・島田事件・松山事件)や袴田事件再審決定に代表される冤罪の現実的危険性を踏まえ、また、いかなる犯罪者であろうとも更生し得ることを前提に、社会内包摂を目指すべきことを主な理由として2016年(平成28年)10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと、また、代替刑として、刑の言渡し時に「仮釈放の可能性がない終身刑制度」あるいは、現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を加重し、仮釈放の開始期間を20年、25年等に延ばす「重無期刑制度」の導入の検討等を政府に求めたばかりである。
 当会は、今回の死刑囚2名に対する死刑執行について、強く抗議の意思を表明するとともに、死刑制度についての全社会的議論を求め、この議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

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