決議・声明

「死刑執行を停止するとともに、死刑に関する情報を広く公開し、死刑制度の存廃に関する国民的議論を求める会長声明」

2014.02.27

1 死刑は、かけがえのない生命を奪うという残虐な刑罰である。しかし、裁判は常に誤判の危険をはらんでおり、これまでに日本では死刑事件について既に4件もの再審無罪判決が確定している(免田・財田川・松山・島田事件)。このように、誤判による死刑執行の危険性は現実に存在しているところ、死刑判決が確定して執行された後、これが誤判であったことが判明した場合、国家による取り返しのつかない重大な人権侵害となる。

2 また、国際的に見ても、大多数の国家が死刑の廃止又は停止をしている状況にあり、死刑の廃止又は停止は国際的な潮流であって、日本は国連から度重なる死刑廃止についての勧告を受け続けている。

3 今般、死刑判決に関わった方を含む裁判員経験者約20人が、死刑執行を一時停止した上で死刑制度の情報公開を徹底するよう求める要請書を法務大臣に提出したとの報道がなされた。現在、死刑が法定刑として規定されている犯罪に対する審理は裁判員裁判で行われることとなっており、死刑に関する十分な情報が与えられないまま、被告人の生命を奪うという死刑判決に関わる裁判員の重圧と葛藤は察するに余りある。

4 これまで、死刑判決が確定した者の処遇や執行の様子を含め、死刑制度の運用実態等について、ほとんど公にされてこなかった。国際的な潮流や裁判員の重責等に鑑みると、死刑制度についての情報を積極的に国民に開示し、死刑制度自体の当否についての全社会的議論を行うべき時にきている。裁判員になった一般市民は、情報不足のまま死刑の重さや死刑制度自体の当否を判断せざるを得ず、その不安は非常に大きなものとなっているところでもある。

5 したがって、当会は、この機に、死刑執行を停止した上で死刑に関する情報を広く公開することを国に求めるとともに、死刑制度の存廃に関する国民的議論を直ちに開始することを国及び国民に広く求めるものである。

                          2014(平成26)年2月26日
                                       鹿児島県弁護士会
                                          会 長 柿 内 弘一郎

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