決議・声明

「ゲートキーパー立法」に反対する会長声明

2006.02.22

1. 2004年12月政府の国際組織犯罪等国際テロ対策推進本部は「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し,その中でFATF(OECDの加盟国などで構成されている金融活動作業部会の略称)勧告の完全実施を決めました。FATF勧告には,マネーロンダリング・テロ資金対策を目的とするゲートキーパー(門番)制度が含まれ,金融機関の他に弁護士などに対しても,不動産の売買等一定の取引に関し ①本人確認義務 ②記録保存義務 ③疑わしい取引の届出義務を課すことが定められています。そして昨年11月17日同本部は実施のための法律案の整備について ①警察庁は平成18年中に法律案の作成を終え平成19年の通常国会に提出する ②弁護士などの専門家に対し「疑わしい取引」について報告義務を課す ③報告先を金融庁から警察庁に移管するという方針を決定しました。

2. しかしながら,疑わしい取引について弁護士に警察庁への報告義務を課すことは,これまで弁護士が国民の基本的人権の擁護のため国家権力と闘ってきた長い歴史のなかで獲得してきた弁護士に対する国民の信頼と弁護士会の自治自律権を根本から危うくするものであり強く反対せざるをえないところです。この制度は「疑わしい取引」という主観的要件のみで相談者に内密に警察庁に報告するという内容であり,これが立法化されますと国民は安心して弁護士に相談することができなくなることは当然予想されますし,弁護士も依頼者の秘密を捜査機関に密告する捜査機関の手先(ゲートキーパー)という目で国民からみられかねません。

3. もちろんテロ対策やマネーロンダリングの防止が必要であることは十分理解できますが,このような規制を弁護士に課すことで防止できるものでもありません。我国で過去弁護士がマネーロンダリング等に関与している事例報告もありませんし,また仮にそのような事例があれば弁護士倫理に反するものとして懲戒処分の対象となりますし,また関係法令によって取締の対象とすれば足りるものと思われます。
4. 弁護士はこれまで国民の基本的人権の擁護のため,国家権力のなかでも被疑者被告人の人権のため警察など捜査機関と対峙対決してきました。今回のゲートキーパー立法はこのような弁護士の活動の基本を否定侵害しようとするものに他なりません。国民が安心して弁護士に相談し,弁護してもらうためには弁護士がいかなる国家権力からも独立していることが必要不可欠なのです。従いまして,鹿児島県弁護士会は「疑わしい取引」についての警察庁への報告義務の法制化には断固反対し,立法化を阻止することをここに表明致します。

2006年(平成18年)2月22日
鹿児島県弁護士会
会 長  木 山 義 朗

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