決議・声明

地方裁判所支部でも労働審判の実施を求める声明

2010.03.31

2010年(平成22年)4月1日から、福岡地方裁判所小倉支部と東京地方裁判所立川支部で労働審判が始まる。
 労働審判は、賃金未払や不当解雇など労使間のトラブルの早期解決を図る目的で、司法改革の一環として4年前に導入され、これまで地方裁判所本庁のみで実施されてきたものである。
 今日,雇用の流動化等に加え2008年の世界同時不況により,賃金問題や解雇問題を訴えて救済を求める人の数が急速に増えている。
 最高裁判所の統計によると、全国の労働審判新受件数は、平成18年877件、平成19年1494件、平成20年2052件、平成21年3141件(11月まで)である。福岡地方裁判所の労働審判新受件数は、平成18年29件、平成19年66件、平成20年121件、平成21年180件(10月まで)である。
 九州では、福岡地方裁判所が一番多く、次いで熊本、大分、那覇、鹿児島の各地方裁判所と続き、各地とも、年々、労働審判申立数が急増している。労働審判制度による解決率は極めて高く、全国平均で68.7%が調停成立,19.1%が労働審判(うち異議申立 62.3%)となり、申立件数の約75%がこの手続の中で解決している。
 本年1月23日、当連合会が九州・沖縄の地方裁判所支部や独立簡易裁判所所在地で活動する弁護士を集めて開いた「九弁連支部交流会」で、延岡(宮崎県)、佐伯(大分県)、五島(長崎県)、唐津(佐賀県)、八代(熊本県)の弁護士から、「支部でも労働審判をしてほしい」との強い要望が寄せられた。それ以外の支部所在地の弁護士も思いは共通である。それは、九州・沖縄の各地域で労働問題を抱えた人が、「交通費や移動時間を余分にかけないで、地元の裁判所で労働審判を受けたい」と願っていることの表れであり、憲法14条の「法の下の平等]と32条の「裁判を受ける権利」を実質的に保障することでもある。
 そこで、九州弁護士会連合会及び管内の各弁護士会は、関係各当局に対し、東京地方裁判所立川支部及び福岡地方裁判所小倉支部に続き、福岡高等裁判所管内の各地方裁判所の支部でも積極的に労働審判の導入を検討し、可及的に多数の支部で労働審判を実施されるよう求めるものである。

2010年(平成22年)3月31日
九州弁護士会連合会  理事長  前田 豊
福岡県弁護士会    会長   池永 満
佐賀県弁護士会    会長   東島浩幸
長崎県弁護士会    会長   原 章夫
大分県弁護士会    会長   清源善二郎
熊本県弁護士会    会長   成瀬公博
鹿児島県弁護士会   会長   森 雅美
宮崎県弁護士会    会長   松田公利
沖縄弁護士会     会長   玉城辰彦
                (公印省略)

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