決議・声明

給費制復活を含む司法修習生への経済的支援を求める会長声明

2013.01.21

2012年(平成24年)11月27日から、第66期の司法修習が開始され、約2000名の司法修習生が全国各地の地方裁判所所在地に配属されたところ、そのうち鹿児島にも24名の司法修習生が配属された。この中には、鹿児島に配属され司法修習を行うため、鹿児島で新たに住居を求めたり、引越し費用の負担を行った司法修習生もいる。
司法修習生は、司法を担う法曹としての高い専門性を習得するため1年間司法修習に専念する義務を負い(裁判所法第67条第2項)、兼業・兼職が禁止され、収入を得る道はない。
新第64期及び現行第65期までの司法修習生に対しては、司法修習中の生活費等の必要な費用が国費から支給されていた(以下「給費制」という。)。しかし、2011年11月から司法修習を開始した新第65期の司法修習生から、給費制は廃止され、司法修習費用を貸与する制度に移行した(以下「貸与制」という。)。このため、住居費、交通費等、生活費全般について、個人負担せざるを得ない状況となった。
日本弁護士連合会は、昨年6月、新第65期司法修習生に対し、司法修習中の生活実態を明らかにすることを目的としてアンケートを実施した。
このアンケートの集計結果によれば、28.2%の司法修習生が司法修習を辞退することを考えたことがあると回答し、その理由として、86.1%が貸与制、74.8%が弁護士の「就職難」・経済的困窮を挙げた。すなわち、司法試験に合格していながら、経済的理由から法曹への道をあきらめることを検討した者が3割近くもいる実態が明らかになった。
さらに、司法修習生の月平均の支出額は、住居費の負担がない場合が13万8000円であるのに対し、住居費の負担がある場合は21万5800円であった。司法修習の開始に伴い修習配属地への引越が必要だった司法修習生は、約6割を占め、この場合には、引越費用等で平均25万7500円が別途必要になる。
以上のとおり、新第65期司法修習生に対する生活実態アンケートにより、貸与制の不平等さや不合理さが改めて明確になった。司法修習生の多くは大学及び法科大学院の奨学金等の返済義務を負担しており、更に貸与制による借金が加算されることになる。こうした経済的負担の重さや昨今のいわゆる「就職難」が法曹志願者を減少させ、有為で多様な人材が法曹の道を断念する一因となっている。
昨年7月27日に成立した裁判所法の一部を改正する法律によれば、「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべき」ことが確認された。これを受けて、同年8月21日の閣議決定により法曹養成制度検討会議が設置され、現在検討が進められている。
司法修習生は、我が国の司法制度を担う人材であり、法曹養成制度は、司法インフラ整備の一環として位置付けられ、国が費用と責任をもって人材を育成すべきものである。修習専念義務を課しながら、司法修習生を全国各地に配属し、他方でその費用を一切支給しないという制度自体、国の責任の放棄といわざるをえない。
国が育成費用に責任を持つことを明らかにすることにより、有為の人材が集まり、国民から信頼される司法制度の維持につながるものである。
当会は、こうした点を踏まえ、有為で多様な人材が経済的事情から法曹の道を断念することがないよう、早急に給費制復活を含む司法修習生に対する適切な経済的支援を求めるとともに、新第65期及び第66期の司法修習生に対しても遡求的に適切な措置が採られることを求めるものである。

以上

2013(平成25)年1月21日
鹿児島県弁護士会
会長 新 納 幸 辰

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