決議・声明

労働者派遣法の改正に反対する会長声明

2014.05.14

第1 声明の趣旨
 現在通常国会に提出中の労働者派遣法改正案に従った方向性での労働者派遣法改正に反対する共に,派遣労働者の雇用安定を確保し,常用代替防止を維持するための労働者派遣法改正を行うよう求める。
第2 声明の理由
1 現在までの経緯
 平成26年1月29日,労働政策審議会は「労働者派遣制度の改正について」との建議をとりまとめた。これを受けて厚生労働省は,同年2月21日,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」を労働政策審議会に諮問し,同月28日,同審議会は,案要綱について,厚生労働省案は,おおむね妥当と認めるとの答申を行っている。そして,同年3月11日,労働者派遣法の改正案が閣議で決定され,同日,同改正案は本年の通常国会に提出されている。
2 改正案の内容等
(1) 改正案では,派遣労働に関するの規制の内容は,以下のとおりとなっている。
(2) まず,改正案は,派遣元事業者で有期雇用されている派遣労働者に関し個人単位と派遣先単位で派遣期間に制限を設け,①派遣先は,個人単位の期間制限について,いわゆる26業務か否かにかかわらず上限を3年までとすること,②派遣先における期間制限については,事業所において派遣労働者を受け入れてよい期間の上限を3年までとすることを定めている。
 その一方で,①の個人単位の期間制限については,派遣期間の上限に達した派遣労働者に対し,派遣労働者が引き続き就業を希望する場合には派遣元事業者は一定の雇用安定措置を講じなければならないとし,②の派遣先における期間制限については,派遣先が事業所における派遣労働者の受入れ開始から3年を経過するときまでに,当該事業所における過半数労働組合等から意見を聴取することで更に3年間派遣労働を受け入れることができるものとすることを認めている。
(3) また,派遣元で無期雇用されている派遣労働者等については,上記①及び②における期間制限と常用代替防止の規制からは除外することとされている。
3 改正案の問題点
(1) 改正案は,派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置づけ,派遣先の常用労働者との代替が生じないよう,派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則とすることを適当としている。
 しかし,上記の措置内容に従って労働者派遣法が改正されることになれば,以下のとおり,無期か有期かにかかわらず,すべての労働者派遣において常用代替防止の原則が事実上放棄され,企業が一般的恒常的業務について派遣労働者を永続的に利用できることとなり,労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持,向上が損なわれることが予想される。その理由は以下のとおりである。
(2) まず,改正案は,無期雇用の派遣労働者について派遣期間の制限の規制対象から除外するべきこととされている。しかし,派遣労働者の雇用条件は派遣先事業者の意向に左右されざるを得ない。そのため,派遣労働者が派遣元で無期雇用されているからといって,その雇用が安定しているとはいえないし,十分な労働条件が保障されているということもできない。
 それにもかかわらず,無期雇用の派遣労働者について一律に派遣期間の制限の規制を除外することで,直接雇用労働から十分な労働条件が保障されない派遣労働者に置き換えられ,常用代替を促進することになりかねない。
(3) また,有期雇用の派遣労働者に対する派遣期間の規制も常用代替防止の観点からは不十分である。なぜなら,上記①については,結局のところ,派遣先及び派遣元事業者が3年経過するごとに派遣労働者を入れ替えれば派遣労働を継続して使用することが可能となり,常用代替防止の理念は果たされないからである。
 それだけでなく,派遣労働者に対する雇用安定措置についても改正案の内容には問題がある。すなわち,派遣元事業主は,派遣労働者の雇用措置としてア 派遣先への直接雇用の依頼,イ 新たな就業機会(派遣先)の提供,ウ 派遣元事業者にける無期雇用,のいずれかを講ずることとしている。
 しかし,ア及びイについては,派遣先事業者が労働者を受け入れる意向がない場合には実効性はない。また,ウについても,派遣元事業者が労働者を改めて無期雇用で使用することは考えにくい。これらのとおり,改正案が述べる雇用安定措置はいずれも実効性に乏しい。
(4) 加えて,上記②についても,派遣労働者の受入れ期間の延長に当たって派遣先事業者は過半数労働組合等から意見聴取すれば足りるとされるところ,36協定締結や就業規則改定における労働者過半数代表の意見聴取制度が形骸化してしまっている我が国の現実からすれば,派遣労働者の受入れ上限を幾らでも延長されるおそれが強く,常用代替防止を図る実効性はない。
第3 結語
 以上のとおり,改正案の内容は常用代替防止の観点から極めて問題が多い。そのため,当会は,改正案に従った方向性での労働者派遣法改正に反対する共に,派遣労働者の雇用安定を確保し,常用代替防止を維持するための労働者派遣法改正を行うよう求める。

                                      平成26年5月14日                                                 
                                        鹿児島県弁護士会 
                                                 会長 堂免 修                                              

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