決議・声明

刑事弁護活動に対する違法な攻撃を許さない会長声明

2007.07.24

刑事弁護活動に対する違法な攻撃を許さない会長声明

現在広島高等裁判所で、最高裁から差し戻された、山口県光市で当時18歳の少年が主婦と長女を殺害したとされる、いわゆる「光市母子殺人事件」についての裁判が行われています。

この事件の裁判に関しては、さきに日本弁護士連合会宛に「元少年を死刑にできぬのなら、元少年を助けようとする弁護士たちから処刑する」「裁判で裁けないのなら、武力で裁く」などと記載された、同事件の弁護団を脅迫する書面等が届いていたのに続いて、今月になってから朝日新聞社及び読売新聞社、そして主任弁護人が所属する法律事務所宛にも同様の脅迫文が届いたとのことです。当会は、この事態を深刻に受け止め、ここに改めて暴力と脅迫から弁護士と弁護活動の自由を守る決意を表明します。

憲法37条3項は、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる」と規定しています。いかなる場合であっても、刑事被告人には弁護人を依頼する権利が保障され、十分な防御の機会が与えられなければなりません。これは、被告人に適正な裁判を受ける権利を保障するものであり、人類が歴史を通じて確立してきた大原則です。この原則は、いかなる時代にあっても実現されなければならず、また、弁護人は、被告人のために最善の努力をすべき責務を負っています。

価値観が多様化し、利害もまた鋭く対立する現代社会において、基本的人権の擁護と社会正義の実現をめざす弁護士の役割は、民主主義の基盤として、ますますその重要性を増しています。

国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は、第1条において人権と基本的自由を適切に保護するため「すべて人は、自己の権利を保護、確立し、刑事手続のあらゆる段階で自己を防御するために自ら選任した弁護人の援助を受ける権利を有する。」と定め、第16条において「政府は、弁護士が脅迫、妨害、困惑あるいは不当な干渉を受けることなく、その専門的職務をすべて果たしうること、自国内及び国外において、自由に移動し、依頼者と相談しうること、確立された職務上の義務、基準、倫理に則った行為について、弁護士が、起訴あるいは行政的、経済的その他の制裁を受けたり、そのような脅威にさらされていないことを保障するものとする。」と定め、さらに第18条において「弁護士が、その職務を果たしたことにより、弁護士の安全が脅かされるときには、弁護士は、当局により十分に保護されるものとする。」と定めております。

当会は、今回の度重なる脅迫行為に対して強く抗議をし、憲法と国連の基本原則に則って、広く市民の皆さんと、弁護士および弁護活動に対する暴力や脅迫が、被告人の弁護人による援助を受ける権利の否定であり、民主主義への挑戦でもあるとの共通の理解に立って、憲法の要請する弁護活動の自由を守るため、改めて全力を尽くす決意であることを表明します。

2007(平成19)年7月24日
鹿児島県弁護士会
会長 上野 英城

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