決議・声明

死刑執行に強く抗議し、死刑執行を停止して、死刑制度についての全社会的議論を喚起することを求める会長声明

2016.12.13

平成28年11月11日、金田勝年法務大臣は、福岡拘置所において1名の死刑囚に対して死刑を執行した。同法務大臣による初めての死刑執行であり、第2次安倍内閣以降、死刑が執行されたのは10回目となる。

私たちの社会が、人権を尊重し、人と人が共存できる存在であろうとするためには、犯罪被害者及びその遺族に対する社会的、経済的、精神的な様々な支援を充実し強化していくことはもとより、死刑制度を含む刑罰制度全体の改革を検討することが喫緊の課題である。

また、刑事司法制度は人の作ったものであり、その運用も人が行う以上、誤判・えん罪の危険は常に存在する。とりわけ、現行の刑事司法制度(とくに捜査段階)は、事後の客観的検証が困難なものであり、誤判・えん罪の危険は具体的・現実的なものとなっている。そのことは、袴田事件や当会において発生した志布志事件などの多くのえん罪事件の経験からも明らかである。

このような誤判・えん罪という観点から見た場合、死刑が執行されてしまうと、取り返しがつかない非常に深刻な問題を生じる危険がある。

かかる事情を踏まえて、日本弁護士連合会は、本年10月7日に開催した第59回人権擁護大会において、死刑執行を停止し、「日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと、死刑を廃止するに際して死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すること」などを内容とする宣言を採択した。

加えて、2014年12月18日、第69回国際連合総会において、「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議が117か国の賛成により採択されている。また、2015年12月末日現在、法律上死刑を廃止している国は102か国、事実上死刑を廃止している国(10年以上死刑が執行されていない国を含む。)は38か国で、法律上及び事実上の死刑廃止国は合計140か国となっており、世界の国々の3分の2以上を占めている。人命を等しく尊重し死刑制度を運用しないとの思想が、世界の趨勢となっている。

当会は、これまでも死刑執行に対して抗議してきたところであるが、あらためて今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、国に対して、すべての死刑執行を停止し、日本弁護士連合会の宣言も踏まえた死刑制度についての全社会的議論が尽くされるよう国民に喚起し、死刑制度の抜本的な見直しを含む検討を行うことを求めるものである。

以上

2016(平成28)年12月13日

鹿児島県弁護士会

会長 鑪野 孝清

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