決議・声明

ハンセン病家族訴訟判決に関する会長声明

2019.07.09

本年6月28日,熊本地方裁判所は,ハンセン病病歴者の家族ら561名が原告となり提起した国家賠償請求訴訟において,ハンセン病隔離政策がハンセン病病歴者本人だけでなく,その家族らに対しても違法な人権侵害であったことを認め,家族原告541名(承継者を含めると557名)の損害賠償を認める判決を言い渡した。

国が90年の長きに渡り遂行してきたハンセン病隔離政策等は,ハンセン病に対する社会の偏見差別を形成・維持し,強固にしてきた。その中で,ハンセン病病歴者とその家族らは,家族関係を破壊され,また,社会生活上のあらゆる場面で深刻な偏見差別により人生そのものに重大な被害を受け,個人の尊厳にかかわる人生被害を受けてきた。

2001年(平成13年)5月11日の熊本地方裁判所の判決は,ハンセン病病歴者が国によるハンセン病隔離政策等の被害者であることを認めたものであるが,本判決はその家族らについても国の隔離政策の被害者であることを正面から認め,家族らが多くの国民らによる偏見差別を受けて長期間にわたる重大な人権侵害を受けたこと及びその責任が国にあることを明らかにしたものである。

本判決は,国によるらい予防法及びそれに基づくハンセン病隔離政策等が,ハンセン病病歴者の家族らに対しても違法であったとして,厚生労働大臣及び国会議員の責任を認めたのみならず,同法廃止後にも厚生大臣及び厚生労働大臣,法務大臣,文部大臣及び文部科学大臣に対し,家族らに対する偏見差別を除去する義務に違反したことに責任を認めた点で,画期的な判決である。

一部家族らについては国の法的責任を否定したものの,未だにハンセン病病歴者の家族らに対する偏見差別の被害が生じていることは,本判決も認めるところであり,国がその解消の責務を負い続けることに変わりはない。

ハンセン病病歴者の家族らが,国による憲法違反の隔離政策によって,長年にわたり,社会の中で激しい偏見差別を受け続け,家族関係の形成が阻害されてきたという人権侵害の重大性及び被害回復の必要性からすれば,一刻も早く家族らの被害回復を図る必要がある。その観点からすれば,今回国が控訴を断念したことは当然のことである。

国は,ハンセン病病歴者の家族らに対して,法的責任を認めて直ちに謝罪し,名誉回復,損害賠償・経済的支援,偏見差別除去・家族関係回復のためのより積極的かつ継続的な施策を早急に策定し,実施していくべきである。

当会も,ハンセン病病歴者の家族らの差別問題に正面から取り組んでこなかったことに対する責任を自覚し,ハンセン病病歴者の家族らに対する被害回復,偏見差別除去・解消等の人権救済活動に全力で取り組み,ハンセン病問題の全面解決に向けて,今後も一層の努力をしていくことを改めて決意し,表明するものである。

2019年(令和元年)7月9日
鹿児島県弁護士会
会 長 笹 川 理 子

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