決議・声明

いわゆる「谷間世代」への一律給付を求める会長声明

2023.03.06

1 司法修習は、法曹(裁判官、検察官、弁護士)となる者に司法の担い手としての公共的使命を自覚させるとともに、法曹として活動するために必要な高い技術と倫理を養う不可欠な過程であり、司法がその役割を果たすための基礎的かつ重要な制度です。

司法の担い手である法曹を国の費用負担と責任で養成することがひいては我が国に法の支配を実現し、国民の権利を擁護することに資するからこそ、戦後60年以上にわたり、司法修習生に対し、修習専念義務(兼業禁止)を課した上で、生活保障のため国が給与を支給する給費制が採用されてきました。

2 しかし、給費制は、2011年、財政的事情を理由に廃止され、修習期間中の生活費を最高裁判所が貸与する貸与制が導入されました。

貸与制のもとで、司法修習生は、経済的な不安を抱えながら、無給で1年間の司法修習を行うことを強いられました。そして、その間の生活費を賄うため、1人当たり平均約300万円の貸与を受けたとされています。

3 その後、司法修習制度の重要性や貸与制の問題点が強く認識された結果、2017年に新たな修習給付金制度が導入されました。これにより、司法修習生は不十分ながら生活費の支給を受けることができるようになり、無給で司法修習を行わなければならない状態は解消されました。

しかし、2011年から2016年までの6年間に司法修習生となり、無給で司法修習を行わざるを得なかったいわゆる「谷間世代」に対する国による救済措置は行われず、不平等・不公平が生じています。

4 「谷間世代」の法曹(裁判官、検察官、弁護士)は約1万1000人に達し、法曹全体の4分の1を占めています。「谷間世代」の法曹は、それぞれの分野で活躍しており、今後、司法の担い手の中核として、公共的使命を果たしていくことが期待されています。

一方、「谷間世代」の法曹は、司法修習時に無給であったことから経済的負担を負った状態で法曹としての第一歩を踏み出しており、司法修習時の貸与金の返還の負担を抱えながら、法曹として役割を果たしていかなければならない状態に置かれています。

「谷間世代」の法曹が、その能力と意欲を遺憾なく発揮し、司法の担い手として活躍できるようにするためには、「谷間世代」の法曹に対する不平等・不公平の是正措置が不可欠です。

5 当会は、2018年5月22日付けで、「いわゆる「谷間世代」のために不公平・不平等の速やかな是正措置の実施を求める会長声明」を発出し、「谷間世代」に対する一律給付などの具体的な是正措置を講ずること、また、当該是正措置が講じられるまでの間、貸与金の返還を一律猶予することを求めてきました。

しかし、現在に至るまで、国は「谷間世代」に対する不公平・不平等を是正していません。

そこで、当会は、国に対し、改めて、「谷間世代」に対する一律給付を実現するよう強く求めます。

 

2023年(令和5年)3月6日

 

鹿児島県弁護士会

会長 神川 洋一

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