決議・声明

臨時国会での再審法改正の実現を求める会長声明

2025.11.27

1 昨年3月、「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が発足した。同連盟は、以来、全国会議員の半数を超える議員の参加を得て、えん罪被害者、最高裁、法務省、日本弁護士連合会等からのヒアリングの実施や、それを踏まえた改正項目や条文案の検討など、精力的な活動を重ねてきた。

その後、本年6月18日、衆議院に「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)が提出され、衆議院法務委員会で継続審議中であるが、これは同連盟の活動が本法案として結実したものである。

本法案は、「再審制度によって冤 (えん) 罪の被害者を適正かつ迅速に救済し、その基本的人権の保障を全うする」という観点から、①再審請求審における検察官保管証拠等の開示命令、②再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、③再審請求審等における裁判官の除斥及び忌避、及び、④再審請求審における手続規定を定めるものである。

本法案は、当会がこれまで求めてきた再審法改正の内容と軌を一にするものであって、えん罪被害者を適切かつ迅速に救済するための根幹を定めた必要不可欠な規定といえ、高く評価できる。

2 再審法改正に関しては、本年4月21日以降、法制審議会において審議が行われ、本法案の定める4項目も審議対象となっている。しかし、同審議では、静岡で専務一家4人が殺害された強盗殺人・放火事件いわゆる袴田事件や福井女子中学生殺人事件などのえん罪事件を通じて明らかになった再審法の不備を指摘して法改正を求める意見がある一方、再審手続における証拠開示の範囲を新証拠及びそれに基づく主張に関連する限度にとどめようとする意見、さらには再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止することに消極的な意見など、現行法を後退させるような意見も見受けられる。これを受けて、法務省が原案を取りまとめる形で、上記4項目の改正に関する是非を含む全14項目に及ぶ論点を提示したが、法制審議会が早期の取りまとめを目指すとしても、その法案化までには相当な期間を要することは明らかで、改正が速やかに進む目処は立っていない。

再審法改正は、何よりもえん罪被害者の速やかな救済の実現に資するものでなければならない。そして、上記4項目は、数多くある論点の中でも、その根幹をなすものであるから、これらについては、早急に法改正がなされるべきである。

3 そこで、まずは「国の唯一の立法機関」である国会において、速やかにあるべき再審法改正の方向性を示すことが重要であり、法制審議会は、その方向性に沿った審議をすべきである。

当会が支援している大崎事件の原口アヤ子さんも、再審に関する現行法の不備のため、十分な証拠開示を受けられないだけでなく、再審開始の判断に長期間を要し、さらには検察官抗告により再審開始決定が二度にわたって覆ることで、その救済を妨げられてきた。

再審に関する現行法に不備があり、無辜の救済が妨げられていることは明らかであることから、その改正は必須であり、国会主導による速やかな立法を強く望むものである。

よって、当会は、国会に対し、本年10月21日から召集され、同年12月17日までが会期とされている臨時国会において速やかに本法案の審議を進め、本法案を可決・成立させることを求めるものである。

 

2025(令和7)年11月27 日

鹿児島県弁護士会

会 長  白鳥 努

 

 

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